浅村成善(airsense)

*空気感にデザインする*

京都市中京区のとある細い路地。この路地にある町屋造りの一つにデザインスタジオ エアセンスのオフィスがある。デザイナーと古風な佇まいというギャップにまず驚かされる。そうこうするうちに、デザイナーの浅村成善さんがバイクで現れ、町屋のオフィスに横付けした。

 

 

-クセ-

 

現在、浅村さんは名刺のデザインから新築分譲マンションの大きなのぼり旗、映画のノベルティーまで多岐にわたってデザインをおこなっている。

 

もともと浅村さんは、とある有名子ども服ブランドメーカーの広告製作会社で働いていた。そこを退職後、現在代表である白川さんとエアセンスを共同で立ち上げることになるが、最初はなかなか前職のクセが抜けず苦労したという。ポップで印象的な色使いのメーカーだったため、色使いの傾向や使うフォントのクセがなかなか抜けず「白川によく注意されてたんですよ。今でもたまに言われますけどね。」と、設立当初の悩みを教えてくれた。得意とする手法だけではなく、クライアントの要望を叶える選択肢やキャパを持ち合わせなければいけない。「いろいろなクライアントさんに会うことは、非常に勉強になるし、表現の仕方、フォントやレイアウトなど…とにかくスタイルが増える瞬間ですね。」

 

 

 -まずは手で描く-

 

エアセンスには「空気をデザインする=あたりまえのものがデザインになってくる」という意味が込められている。トイレのマークのように意識せずとも視覚に訴える、空気感にデザインしていこうという目的のもと名付けられたのだと教えてくれた。

 

二人で共通の目標を持って活動しているエアセンスであるが、やはり異なる点も多くある。ロゴ等をつくる際、始めからパソコンで描いてしまう白川さんに対して、浅村さんは筆で一旦描いたものをスキャナに取り込んでつくることも多いという。「もともとパソコンでデザインするのがどうも嫌いで、手で描くのがやっぱり好きなんですよね。」2人のデザインへのアプローチの違いが、エアセンスとしての多彩な表現を可能にしている。

 

美大で環境デザインを学んでいた浅村さんは、フランク・ロイド・ライトにとても影響を受けている部分もあるという。「アール・デコとかの様式が好きで、その時代のフォントをひぱってきて作品におりまぜることもあるんですよ。」浅村さんの作品の中に、ときおりあわわれる有機的なデザイン。手描きとデジタル、そして過去の様式に敬意を込めたエッセンスが折り重なり、唯一無二の表情が現れる。

 

 

 -モノセンス-

 

今後は自分たちのプロダクトも創って、紹介していきたいという。今は京都在住の織物作家、小森鮎子氏の「Thimble Ring(指ぬき)」をプロデュースするモノセンスとしての活動も始まった。伝統の技術を用いたかわいらしい配色のThimble
Ring
。そこにエアセンスで培った、魅せる術が注ぎ込まれていく。「今は種まきをしている段階で、最終的にはもっと他にも商品をプロデュースしたり、クリエイティブなパーティーを主催したりしていきたい。しっかりと地盤を固めていきたいです。」と、浅村さんは今の抱負を語ってくれた。

 

「まだ未発表なのでここで詳しくはお話できないんですが」と、前置きをしつつ都市の景観に合わせた新たな広告の在り方についてもこっそり教えてくれた。そのため、オランダ等に何度か視察に行っているのだという。

 

ありふれたモノ、当たり前の景観の中にデザインをしていく。浅村さんの考えた“エアセンスが街の中で見られる日も、そう遠くはないかもしれない。

 

※上記の内容はすべて取材当時のものです。