Chisun Ryang(chuBBie.co)

*日々のインスピレーションを大切に*

 

Chisun Ryangさんは、日々のインスピレーション大切にして作り上げた小物やアクセサリーで、東京を拠点に活動をしているつくり手。アフリカを始め、アメリカやアジアなど世界を旅して培った感覚を織り交ぜ、独特な色彩感で作品を表現している。

 

 

-アフリカとの出会い-

幼い頃からヒップホップダンスをやってきたRyangさんは学生の頃、勉強のためにニューヨークへ行く機会があった。そこで、先生の勧めもあって目にすることになったアフリカンダンスに、とても魅せられたのだという。大学生活最後の年、そのエネルギッシュなアフリカ文化にすっかりハマってしまったRyangさんは、ついに念願のアフリカへ行くことに。

 

「西アフリカのギニア共和国に行ったんです。街の治安自体はそんなに悪いわけじゃないんですけど、政治の不安定さは当時ありました。渡航費も往復20万円以上したり、一般的には観光地じゃないので旅行者が泊まるところはあまり充実していないんですよ。」

 

現在は小物やアクセサリーがメインというRyangさんではあるが、当初は服の仕立てをしていたのだという。そしてそれが今に大きく通じるきっかけとなった。

 

「向こうでは生地を購入して仕立てることが今でも主流なんですよ。もちろん洋服も売ってはいるんですけどね。そのためかとてもかわいいし、バリエーション豊かで個性的な生地がたくさんあるんです。始めは自分の欲しいものを仕立てたり小物作りをするだけだったんです。でも欲しい布をたくさん買い集めて帰ってくると、周りのみんなから欲しいっていう反応がすごくあってね。最初はビジネス的な感じではなく、渡航費を少しだけのせさせてもらって、仕立てた服や生地を譲ったりしてました。」

 

何回もアフリカに行っているうちに、旅費分くらいを少しずつ賄えるようになっていったのだという。その後も、あくまで趣味の範囲内で代々木公園等で行われるフェスに、アフリカの生地で仕立てたものや、デニムをリメイクしたもの等で出店したりしていた。

 

「結局この頃は服が多かったですね。でも服だとすごく荷物が多いことや商品の回転率の鈍さ…あと、自分がそもそも柄物をあまり着ないことに気づいたんです。」

 

もともとアメリカンアパレル等のシンプルな服に、ワンポイントを取り入れることが好きであったためか、自分が普段着ないものを販売することに“違和感”をこの頃感じ始めたという。

 

そこで、自分が本当に身に着けたいと思えるアクセサリーや小物を作ることに次第に行き着いたのだという。

 

 

-今できること、さらにその先に-

 高校のときにスカートを作ったくらいで、アフリカに行くまでほとんど服飾の経験がなかったというRyangさん。しかし話をしながらでも、非常に器用に、そして美しく手縫いでピアスを仕上げていく姿からは、全くそのようなことは想像し難い。

 

最近ではアクセサリー作りに関する知識のブラッシュアップや金属部分のパーツも自作することにも興味があるのだという。

 

「できることを常に増やしていかないと、いつか先に進めない日が来ますからね。それをどうするか考えるのが今の課題です。」

 

アクセサリー以外に、Ryangさんの作るタオルも非常に人気がある。片面にパーニュと呼ばれる西アフリカの布を使用し、その反対の面にはタオル地を使った色鮮やかなハンカチ。アフリカの柄がよりいっそう活かされた見た目になっているだけでなく、機能性も非常に高いものとなっている。

 

「もともと服のための生地なので、色落ちも少なく水や汗もよく吸います。」

 

近年では経済的な事情から工場が閉鎖され、生地はアフリカで作られることは少なく、アジアやヨーロッパで作られたものが多くなってきたという。アフリカで売られている生地が、実は逆輸入品だったりすることもあるようだ。

 

「最近はアジアでも中国産やタイ産のものが多くて、アフリカ産やヨーロッパ産はどうしても価格が高いですね。生産地が多くなってきただけでなく、それにともなって品質も様々になってきています。良いものは裏と表の違いがあまりなく、悪いものは“表”と“裏がハッキリした質感になってます。良いものは色をのせる時に何度も丁寧に染めるため、表と裏の質に差が少ないんです。色落ちの違いにも大きく影響するんですよ。」

 

アフリカのテイスト以外にもインド調のデザインや最近ではタイへの買い付けでも徐々に新しい要素を取り入れているという。

 

「最近はタイによく買い付けにいくんですが、モン族の素材がとても気に入っています。モン族は基本的にすごく色が鮮やかなんですよ。」

 

独特な色のコンビネーション、菱形や渦巻きを組み合わせたモチーフは、Ryangさんの作品に自然と調和している。こうしてモン族テイストを意識して作ったピアスやチロリアンテープを作品に取り入れるなど、Ryangさんは常に意欲的に新しい要素を作品に放り込む。

 

 

−自分の立ち位置−

「例えば、よくあるエスニック雑貨屋さんて、もろにエスニックな雰囲気ですよね。私はそういうのがすごく苦手で…置いてあるものって一部の人しか身につけられないって私は思うんです。日本人にとっては非日常感のある、民族的で土臭いものをもう少しハイファッションに!都会的要素のようなものを取り入れてみたりしてます。それが私のものづくりの基本かもしれないですね。」

 

服にすると完全に“エスニックなもの”。ハンカチやアクセサリーにすることによって“より一般的に”して、みんなが使いやすいものにすることを大事にしているのだという。

 

「普通に生活していたら、触れないであろうものにみんなを結びつける役割ですね。」

 

断捨離の考え方であったり、家電のインターフェイスをシンプル化させる等、無駄なものを見つめ直す動きが近年のトレンドとなりつつある。そんな中で、モノを生み出す自身のスタンスについて、Ryangさんは最後にこう教えてくれた。

 

「モノをつくることは、ある意味では無駄を作り出すことだと私は思っています。でも、私はシンプルであることよりも、無駄も含めて楽しんで生きているんです。楽しいものを見たり、可愛いものを見ることってすごく幸せな時間ですよね。たしかに世の中の情勢が厳しくなってきた時に、真っ先に切り捨てる要素であったり、生きることにとって必ずしも必要というわけではないですが。それでも作っている立場として、その無駄でみんなが楽しんで笑顔になってくれるならば、私はそっちに焦点を当てたいんです。」

 

相手のことを考え、作ることを心の底から存分に楽しむ。そしてそのために自分はどんなスタンスを取るのか。そんなRyangさんの想いが伝わる印象的な言葉であった。

 

※上記の内容はすべて取材当時のものです。