CHOPPER(WHEV)

*Do it yourself*

ここは大阪市中央区。若者たちで賑わうアメリカ村三角公園前に、アパレルブランドWHEVのショップがある。Tシャツやバッグ、小物がところせましと並ぶこの店は、スケートボーダーとしても大変有名なCHOPPERさんが手がけている。

 

-Tシャツ機械

 

スケートボードをしていたCHOPPERさんにとって、アパレルの世界との出会いは必然であった。ストリートカルチャーとしてのスケートボードには、パンクミュージックやファッションと密接にミックスされた世界観が存在する。そしてパンクを構成する考え方の一つ、非商業主義的な考えを持つ人々との出会いも多くあったという。お金云々ではなく、柔軟性をもって試行錯誤してモノを考えたり、つくったりする人たち。そのような出会いの中で、CHOPPERさんがとても影響を受けた先輩から、Tシャツを家庭で簡易に作れる機械の存在を教えてもらったのが大きな転機となった。

 

 

-D.I.Y (Do it yourself)

 

CHOPPERさんがこの世界に入って20年近くになるという。当時、スケートボードも高く、スケートボーダーが身につけるファッションも輸入品が多くて、なかななか手が出せないものであっという。単にスポーツとしての側面だけでなく音楽やファッションともリンクするスケートボード。『服の持つデザイン性や創造性に興味を持ちそこにお金を使ってしまう事も仕方がないけど、どちらかというとスケートボード自体のほうにお金をかけてほしいですからね。』ファッションをなるべく安く若い人たちに提供できないかという気持ちが、このアパレルを続けている原動力であるという。

CHOPPERさんが大切にすることの一つに、D.I.Y(ハンドメイド)という考え方がある。今ではTシャツをつくる機械も自作のものを使用している。露光機や印刷に必要な機械など、買えば10万、20万するものも、CHOPPERさんは自作で1万円ほどでつくってしまう。

 

いくらD.I.Yをコンセプトにしていても、あまりにもハンドメイドにこだわりすぎてTシャツをつくると、逆に割高になってしまうこともある。そうなってくると当初の主旨とズレが出てきてしまうため、特定の部分は外注にするなど対策をしている。たとえ全てがハンドメイドでなかったとしても買う若者のことも考え導き出た答えならば、その思考プロセスも含めてD.I.YであるとCHOPPERさんは考えている。

 

家庭用の機材レベルで、いかにお金を使わずクオリティを高められるか。プロの使う機材であれば「あっという間に出来てしまうことは多いかもしれないけど、そうゆうものを使って出来ることに魅力を感じない。」CHOPPERさんは終始、このポイントを強調して話してくれた。

 

 

 

-初期衝動-

 

 日常生活で思っていることや考えていることをCHOPPERさんは深くデザインに込めている。そして主観的にはなりすぎず、より客観的なものとなるよう心がけているという。「60億以上もある個人の見解なんかぶちまけられても意味はない、客観的な事実に基づきもっと誰の目から見ても不条理に感じることを問題定義するメッセージにしています。」一番始めは根拠もない初期衝動的なものから入って、その次にもっと論理的な思考で再構築していくという。しかしそれでもどこか飽きがくる。自己批判する癖がもとからあって、一本道な考えで行うモノづくりだけでは納得いかないCHOPPERさんは、再び初期衝動のときの感性でアイディアを戻す。ここでようやく「あの最初に沸いた感情は間違ってなかったんだと気付けることがある」のだと教えてくれた。   

 

常に自己のハードルをあげているCHOPPERさんにとって、最近の主体的に考えない若者や自分の意見を持たない大人に違和感を感じるという。『人の意見に流されてるだけというか、ブームにのって物事を決めているように見えます。』扱っている機器が非常にアナログなものを好むCHOPPERさんであるが、当然デジタルも使いこなした上で、アナログ機器を使っている。「デジタルの技術を一度も習得していない人が“アナログのここがいいんだよねー”と言っても説得力ないですよね。」

 

一方しか知らない者が、もう一方を語ることはできない。ましてや否定することなんてもってのほかである。「ホンマのチョイスができるってそうゆうことなんじゃないでしょうか」若者にファッションを提供する傍ら、その若者自体に警鐘も鳴らす。

 

 どこかみんなが忘れかけていたものを思い起こさせてくれるCHOPPERさんの言葉。自然に心に響いてくると共に、どこか見透かされているようで少し“うしろめたい”気持ちになる。

 

 

今後は海外のスケートボードチームとも合流し、WHEVとしても大きな転換期を迎えるという。ますます大きく世界に向け、CHOPPERさんのメーセージや世界観を発信していってもらいたい。 

 

※上記の内容はすべて取材当時のものです。