松浦雄児 (風音)

*Cafe × 対話 × Leather=What??*

 稲沢の国道155号線を走っていると「風音」という看板が目に飛び込んでくる。平日の朝からモーニングサービスで賑わうこの店を切り盛りするのはオーナーの松浦さん。実はカフェのオーナーだけでなく、レザー小物のつくり手としての一面も持っている。

 

 

-「作ってしまおう。」-

 もともとバイクをいじることや、モノを作ることが好きだった松浦さんはレザーカービングを独学で勉強し、今まで数々の作品を作ってきた。初めて作ったのは自分用に作った財布。10年間少しずつ修理しながら大切に使ってきたという財布には、味のある深い色合いや擦り傷が入っていた。その後少しずつ作品を増やし、カフェをオープンさせた3年目からは値段をつけずに店頭に並べていたという。

 

 大きな転機となったのは、友人に子どもが産まれた時であった。松浦さんは何かプレゼントしようと店に買いに行ったが、良いものが見当たらなかった。「だったら、作ってしまおう。」と思いついた松浦さんは、レザーで名前入りのキーホルダーを作り、プレゼントしたのだという。    これがとても喜ばれ、周囲からの「売れるんじゃないか?」という後押しもあり、松浦さんのつくり手としての活動が本格化した。

 

 

-one & only ~唯一無二へのこだわり~-

 相手との多くの会話を通してデザインや思いを松浦さんはカタチにしていく。

「基本的に同じものは作りたくないんです。」

 そのように話す松浦さんには一点ものへの強いこだわりがある。過去には、お客さんが店の展示品を見て「これが欲しい」と言ったのに対し、断ったこともあった。「少しでもいいから、好きな柄やワンポイントなど、お客さんのこだわりが欲しいんです。」これには、目の前にあるモノに妥協して選んでほしくない、気持ちをカタチにしたい松浦さんの強い思いが表れている。

 

 

-思いをカタチに-

 少し湿らせた革の上を、スーベルカッターの繊細な線が走っていく。フラワーやリーフ、スクロールを用いた華やかなシェリダンスタイルの他、要望に応じて様々なデザインが松浦さんの手元から表現される。以前作った鬼瓦をモチーフにした眼鏡ケース。これには、どこか睨まれているような活き活きとした鬼が、勢い良く描かれている。

 

「相手と話をして型を作るまでが、1番時間のかかる仕事」なんだと松浦さんは教えてくれた。そのぶん、話をして型を決めてからの作業は物凄く早い。「やり出したら早いですよ。これも2時間くらいで作ってしまいます。」そう話しながら見せてくれたコースターには美しい模様や影が大変丁寧に表現されていた。

 

 永く愛用したくなる、思いをかたどった妥協のないデザイン。その楽しみを、つくり手と共にここでは発見することができる。

 

※上記の内容はすべて取材当時のものです。