水野浩行 (MODECO)

*廃材から生み出されるエコプロダクト*

名古屋市中区、大須商店街の中に一見ふつうの鞄屋さんがある。一歩入ってならべられた鞄をよく見ると、使われている素材に驚かされる。ここMODECOで取り扱っている鞄はすべてごみになってしまうはずだった廃材で作られているのだ。使われている廃材はフロアマット(床材)、シートベルト、モブやタイヤのチューブなど多種多様で、とても雑貨を生み出す素材たちとは思えないものばかりだ。

 

Mode Eco(循環モード)を目指す意味を込められて命名された「MODECO」を立ち上げたのは若きクリエーターの水野浩行さん。一度お会いしただけでセンスの良さを感じさせるとてもおしゃれな方だった。

 

もともとは知り合いの企業を通して一つの廃材と出会う機会のあった水野さん。製造していると絶対出てきてしまう廃材。それをなんとかできないかという企業からの悩みに応えようとする行動からこの事業が発足したという。

 

水野さん自身に何か特別な制作の経験があったわけではなく、小さいころから音楽活動を行っていた。「物づくりの基本は音楽もプロダクトもすべて同じだと思う。」と話してくれた。「自分を伝えたい。表現したい。」という強い気持ちが水野さんの原動力にもなっているようだ。

 

水野さんは「世の中には特定の用途でしか使われないものがいっぱいあるが、特定の用途でしか使われない理由は無い。」という。出来上がった作品を見ているとさらに納得させられる。今まで道を選ぶことなく捨てられてしまっていた廃材がこんな形で新しく生まれ変わるなんて、想像していなかった。使い方を変えるという発想が暮らしにどれほど大きな影響を与えるものか、考えさせられる瞬間だった。

 

これからも新しい廃材を扱っていきたいですか、という質問に対して「もちろん。もちろん使っていきたい。」とすぐに答えてくれた。目の前の現実・事実を見てしまったら、ごみを道行く人が拾うのと同じ感覚できっとやらなくちゃいけないという使命感が湧いてくるだろうと語ってくれた。

 

MODECOの作品は一般の鞄を作るための素材とはまったく性質が異なるため、たくさんの苦労を伴う。しかし、根本として「長く使えること、丈夫であるということを常に大切にして、毎日頭を使って作っています。」と真剣な表情で語ってくれた。

 

一期一会のデザインを目指すMODECOは、すべてごみとなってしまうものから作り出されたとは思えないほどの完成度の高さで、高級感をも感じさせる。そこには、「本当に良いモノとは何か。」というMODECOからのメッセージがこめられている。

 

※上記の内容はすべて取材当時のものです。