大橋具代 (炭屋本舗)

*炭のインテリアや日常雑貨のパイオニア*

店内に入ると透き通った空気を感じ、なんだか居心地の良い炭屋さん。燃料として使用する印象が強い炭だが、実は消臭、湿度調節、浄化作用、遠赤外線効果やリラックス効果などと暮らしを快適にする魅力的な効能をたくさん持っているのだ。ここ炭屋本舗には、そんな炭から作られた衣類や雑貨、また洗顔やシャンプーなど多種多様な商品が並べられている。このお店を現在一人で経営しているのは大橋具代さん。炭を今までとは全く別の使い方でインテリアや日常雑貨として扱い、日々オリジナル商品を生み出している。

 

大橋さんが初めて炭に興味を持ったのは、あるイベントがきっかけだった。そのイベントで炭を見つけ、書いてある効能を見て「おもしろいんじゃないのかな。」と、ふと思ったという。それから本屋に行って、本をたくさん買って勉強することから始まり、ある商社から炭の最高級品とも呼ばれる紀州備長炭を、一箱取り寄せてみたのだと話してくれた。「まずは洗ったり、割ったりしてみたんです。そしたらすごくきれいなんです。」と、嬉しそうに教えてくれた。今回、実際に大橋さんに炭を割っていただいたのだが、切れ口が艶々としていてコーティングされているかのようだった。今まで見たことのない、炭が一つ一つ輝いている様子に魅了された。

 

当時まだ会社に勤めていた大橋さんは、趣味としていくつかの炭をグルーガン*でくっつけて造形したり、割ったものをかきあつめて形にしたりしていたと言う。そんな時、開かれた覚王山のお祭り。ブースを借りて出展した際に「店舗の申し込みを書いてみないか。」という誘いが始まりとなり、勤めていた会社を辞めてお店を開店することになったのだ。

 

お店を開店したものの、今まで燃料屋以外で炭屋がなかったため全てを自分で開拓しなければいけなかったと言う大橋さん。オリジナル商品をいかにしてお客様の目に留まるように紹介するか、また燃料としてではなく自身で加工するために難しくなる価格設定。しかしそれらの問題を乗り越え、ここまでお店を形にしてきた大橋さんは「でも楽しかった。」と笑いながら当時を振り返ってくれた。

 

取材中にもお店に立ち寄っていくお客さんがいたのだが、丁寧に商品説明を行う彼女の表情は輝いていた。間接的に説明を聞いていても、どんな商品なのか気になって思わず耳を澄ませてしまった。大橋さんの話を聞いていると、彼女自身が炭を愛していることが伝わってくる。だからこそ大橋さんの作品はお客さんの気持ちを引きつけ、どんなものなのか実感したくなってしまうのだろう。

 

常に前を向き、勢いを感じる彼女自身も、炭からたくさんのパワーをもらっているのかもしれない。「誰もやっていないことをやる。常にそういう意識があるんです。」と言う大橋さん。今後もどんなオリジナル商品を生み出してくれるのか期待が膨らむ。

 

 

*グルーガン:家庭用家庭用から業務用まで多方面で利用できるガンタイプの接着剤。

 

 ※上記の内容はすべて取材当時のものです。