杉山敬季 (tools.shoerepair&sundries)

*蘇る、お気に入りの靴との日常*

いくつもの興味深いお店が立ち並ぶ覚王山の日泰寺参道に、鮮やかな青色をした一軒の靴の修理屋さんがある。ここtoolsを立ち上げたのは杉山敬季さん。その隣にはいつもすてきな笑顔で出迎えてくれる奥さんがお手伝いをしている。新婚の夫婦で営む店内は、入るだけで癒されてしまうようなほんわかとした和やかな雰囲気だ。

 

杉山さんが靴の修理屋さんをはじめて6,7年が経つ。もともとは靴が好きで、自分で靴を手入れしていたそうだ。

 

前職は雑貨などの輸入の仕事に携わっていた杉山さん。そこで雑貨の出荷作業をしている時に、たまたま出荷に使うあんこ(新聞紙を丸めたもの)に靴の修理に関する記事を見つけたことがきっかけだと話してくれた。たまたま見つけた記事を見て「これだな。」と思ったという。後に、とある修理屋さんで5年ほど修行を積み、現在は実家のスペースを利用して独立している。

 さまざまな靴の修理依頼を受けているが、その中で長く愛用している持ち主が多いというオーロラシューズも修理している杉山さんは、実際に夫婦でアメリカにあるオーロラ村へ足を運んだと言う。オーロラシューズを作っている小さな工場を見学してきたそうだ。一般的な靴とは作り方が全く異なるから履き心地や味が違うと話してくれた。杉山さんの話を聞いていると、靴への興味深さが強く伝わってくる。

 

靴の修理には履く前に修理するものもあれば、履いて壊れてしまったものを直すものもある。「自分の物ではなく人の物なので、とにかく傷つけない、壊してはいけない。代わりがないのでそこに一番神経を使います。」と話してくれた。

 

その分、「お客様に仕上がりを見てもらって喜んでもらえると一番嬉しい。直に声が聞こえるのが楽しい。」と笑顔で語ってくれた。

 

取材の最中にもお客様と親身になって会話をされている杉山さんの姿を見て、toolsに足を運び入れるお客様の気持ちが分かる気がした。毎日履くものだからこそ、お気に入りのものだからこそ大切にしたいと思う靴がある。きっとtoolsはそんな思いが届く場所だろう。

 今後の考えを聞くと、「事業の幅を広めたいわけではなくて、自分で修理できる幅を広げていきたい。」と語ってくれた。現在は、スペースや機材からどうしても修理ができる範囲が限られてしまう。「ここに出せば、絶対大丈夫。というところまでもっていきたい。」と活き活きと話してくれる杉山さんの言葉は、ますます人に愛されるtoolsになっていくと感じさせた。靴を愛し続ける杉山さんの手によって長く愛用される靴が増えることに期待したい。

 

※上記の内容はすべて取材当時のものです。