鈴木智子(moco)

*「木」のもつ魅力をそのままに*

「木の温かみが伝わるもの」「長く使ってもらえるもの」。そんな作品を目指して日々制作に没頭する女性がいる。木挽きろくろを始めて六年目。鈴木智子さんは現在も日々勉強しながら木工雑貨を作り出している。

 

 

 

-自分で作りたい-

大学三年生の頃、鈴木さんは卒業制作で木のおもちゃ(人形)作りに取り組んでいたという。しかし既製品の木材を組み合わせて自分の作りたいものを作ることに、難しさを感じていた。そこで「顔や体、全てのパーツを一から自分で作りたい。」との思いから大学の近くにあった工房へ通うことにしたのだ。そしてこれが鈴木さんと木挽きろくろの出会いとなった。木材を回転させ、刃物を当てることによって丸型に削っていくことができる木挽きろくろ。イメージ通りに制作できる楽しさや喜びを感じ、鈴木さんはすぐにその魅力にはまっていった。

 

現在はお皿、おわん等の食器類やバッグハンガー、キーホルダー等の雑貨類を中心に制作しているそうだ。キーホルダーの中には、いちごをデザインしたものがある。小さく丸みのある形に削り、ヘタを革で表現した可愛らしいデザイン。そして、いちごの粒はラインストーンであしらわれている。「丸い形をしたものならどんなものでも木挽きろくろで作ってしまおうと考えてしまう。」と鈴木さんは笑顔で話してくれた。

 

 

-焦がし絵-

自分で形を作ること以外に、絵柄を入れることも鈴木さんの楽しみの一つとなっている。ウッドバーニングという電熱ペンを用いて木を焦がし、その線で絵を描いていくのだ。アクリル絵の具で絵を描いてしまうとせっかくの木目をつぶしてしまう。ウッドバーニングは、木目をつぶさず描きたいと考えていたときに出会った道具だった。

 

お客さんからティラノサウルスの依頼を受けて描いたことも。飼っているペットの似顔絵など特別なデザインも鈴木さんの手にかかれば、どんなものでも木に描くことができる。木目を隠さずに生かしたまま作品を仕上げるので、木の良さをしっかりと感じることができるのだ。

 

 

-「木」を生かして-

種類によって堅さや感触、木目の様子や、色などが全く異なる「木」。鈴木さんはそれぞれの性質を、作り出す作品の用途に合わせて使い分けていく。木の本来の良さを引き立たせた作品が生まれるのだ。例えば雑貨類には、色が白くて歪みにくく、木目が邪魔をしないブナの木を使い、おわんにはうるしと相性の良いケヤキを使っているのだと教えてくれた。

 

「工業製品と違って、やっぱり木は生き物なので個性があるんです。」そう話す鈴木さんの表情はとても活き活きとしていた。

 

 

熱いものを食べる時に、熱くなりすぎない「木」のスプーン。

 

もしも子供がかじってしまっても歯を傷つけない「木」の器。

そして「木」がもともと持っている優しい温かさ。

 

 

「木」を素材として選び続ける理由には、使う人のことを一番に考える鈴木さんの想いが隠されていた。

 

 ※上記の内容はすべて取材当時のものです。