Taiy Lalita(Brassket T)

*いつもの自分にあたらしい美しさを*

 世界最大の市場とも言われる、バンコクのチャットチャック・ウィークエンド・マーケット。ここは雑貨、アパレル、アート、飲食、動物などの多様なジャンルのショップが所狭しと並んでいる。

そんな巨大マーケットの一部に、タイの若きクリエイターで活気溢れる一角がある。その中でも常に若い女性が出入りする、ジュエリーやアクセサリーを扱うショップBrassket T。デザインや形が豊富でいくつもの作品が並ぶ。

ここBrassket Tで制作しているのはTaiy Lalitaさん。幼い頃からアクセサリーが大好きで、タイ最高峰の芸術大学シラパコーン大学出身の女性だ。

 

―自然・愛・自由―

Taiyさんが本格的に美術を学んでいく中で見つけた、アクセサリーに対する3つの自分のテーマ。それは動物がいきいきと暮らし、植物が青々と育つ本来の意味である「自然」。すべてのものと慈しみあい、広く思いやりを持ち、自己愛を育んだ上で初めて他者を尊重する「愛」。そして制作方法、形、全てにおいて何からも拘束されず表現する「自由」。2008年にBrassket Tを立ち上げて以来、現在もこの3つのテーマは変わらない。

「自然や愛、自由から本当に美しいものを感じ取りインスパイアされて作品づくりに入ります。私がインスパイアされた造形自体ではなく、その“美しいと思えた気持ち”そのものを表現していきたいです。」とTaiyさんは言う。

 

 

―失敗を繰り返し、挑戦も繰り返す―

金属を組み合わせた作品がメインとなるBrassket T。Taiyさんは「アクセサリー作りには、たくさんの難しい工程があるんですよ。」と教えてくれた。工程ごとに何種類もの工具や技術を使って硬い金属を加工していく。金属を叩いたり曲げたり削りだす作業は、根気と時間を大量に消費するのだ。

最終工程に近いのに失敗してしまったり、思ったとおりのデザインが金型では表現できなくて頭を悩ませたりと、毎日苦労の連続です。」と教えてくれた。

しかしその中で、Taiyさんの手が止まることはない。

日々飛ぶように売れる作品たちに追われて、制作する時間が限られている中でも次々と新作を生み出している。「今までと同じものを作り続ける事も大切。しかし、やりたいことを思いついたらどんなに難しい技術が必要だとしても、何度も挑戦してつくり上げてみたいんです。今は金属に色を織り交ぜる技術を覚えて、新しい作品づくりに挑戦していますよ。」このTaiyさんの姿勢が、バンコク中の若い女性達を虜にしている理由だろう。

 

 

―自然体で身に付ける―

「個性的なアクセサリーを作るのは、つくり手としてはとても楽しい作業です。でも、使ってくれる人が私のセンスに合わせるのではなくて、みなさんのセンスに私の作品が自然に調和してくれると嬉しいんです。」と話してくれた。

Brassket Tのテーマでもある「自然」には、作品で自然を表現すると同時に身につける人が自然体でいられるようにという意味も含まれている。Taiyさんの作るアクセサリーは、際立った主張をせず、色が柔らかく、形のかわいらしいものが多い。だからBrassket Tの作品は、身につける人のセンスを引き立て、もう一回り女性を美しく見せてくれるのだろう。

 

担当記者:原田真未