#017 田中政孝 (M's office graphic)

*日々新しい色を生み出していくグラフィックデザイナー*

 同じ素材であっても表現の仕方によって伝わり方が変化し、見る人に感動を与えるグラフィックデザイン。M’s office graphicは一つのやり方にとらわれずどんなものでもデザインしてしまう会社だ。ここを設立したのは若きデザイナーの田中政孝さん。

 

もともと田中さんがこの業界へ飛び込んだ背景には仏教との出会いがあった。田中さんは、「仏像が何を訴えようと思ってあの表情をしているのかを考えたときに深い物を感じた。」と言う。最初に物を見ることの楽しさを覚えたのが仏像だったのだ。そして音楽に興味を持っていた田中さんは、自身でバンド関係のフライヤーやグッズの制作に取り組んでいたと言う。一度は営業マンとして会社に勤めたが、昔から好きだったデザイン関係で仕事をしていきたいという思いから会社を辞めて一からデザイナーとしての道を選んだのだ。

 

「同じ風景でも空の色が少し違うだけで全部の色が違うんですよ。色のコントラストが1%違うだけで印象が変わってくる。」制作上使いこなす色に田中さんならではのこだわりがあった。それは「白を生かす。」ということだった。

 

原色だけではなく、コントラストの加減も含めると田中さんが扱う色は数え切れないほど無数にある。その中で“白”という色について「印象としていろいろな捉え方があると思うんですけど、個人的には一番目に入る色かな。」と話してくれた。どの作品にも必ず入れていると言う。田中さんの作品を通して白がどんなデザインにもなじみ、また強調させる力を併せ持っていることを実感した。

 

また田中さんのこだわりに加えて作品の中で表現される様々な色合い。「お客様の要望、イメージの物を膨らませるのがデザインの仕事。」と言う田中さんの作品は、クライアント一人一人の「個性」を生かして制作されている。今までの作品を見ると、一点一点表現の仕方が異なり、同じ人が制作したとは思えないほどだ。シンプルなデザイン、また派手目なデザインの中にも個性を感じさせるのだ。

 

M’s office graphicが主流とするスタイルに出張制作がある。客先へ行き、目の前でパソコンを広げ2,3時間で作り上げてしまうのだ。その場で制作するため、相手の要望も通りやすく、また田中さん自身のアイデアも入れやすいと言う。直接会って話すことができるため、クライアントの好みを、まさに肌で感じ取ってカタチにすることができるのだ。また使う色に関しては、基本的にその人がその日に身に付けている色を使うと教えてくれた。女性の場合は、メイクやネイルなどと細かいところにまで注目して特徴を探り、デザインのイメージを構築していくのだ。

 

 こうしてクライアントのイメージと田中さんのこだわりが詰まって作品が出来上がる。人間一人一人が形相や手相に違う色を持つように、田中さんの作品も次々と新しい色を生み出していく。

 

 田中さんが好きな仏像のひとつに「色んな見方があれば、いろんな方法がある。」という意味を持つ物がある。その言葉は一つの方法にとらわれずにデザイン制作をする田中さんのスタイルと通じていた。今後、どんなものまで田中さんがデザインをしてしまうのか、どんな個性溢れた作品ができあがるのか楽しみだ。

 

 ※上記の内容はすべて取材当時のものです。