山盛公夫 (ごん色カメラ)

*古いフィルムカメラを親しみやすく*

  デジタルカメラと違って、操作が難しく現像なども面倒なイメージが強いフィルムカメラ。ごん色カメラの山盛公夫さんは、壊れたフィルムカメラを修理して黒い革貼りの部分をカラフルな革や布に貼り替えることで、フィルムカメラを知らない若い人にも親しみやすいものにしている。

 


-カメラをファッションの一部に-
  無骨な黒い革張りを一枚一枚綺麗に剥がし、赤や緑、水色などの色とりどりのスエードの革や布に貼り替えていく山盛さん。一台につき一色ではなく、レンズの左右や裏表などで違う色に替えながら丁寧に貼り替えられたカメラは、思わず手にとって眺めてみたくなるかわいらしさだ。

 

「最初は壊れたカメラを修理して販売していたのですが、黒い革の部分は接着剤等でしっかり貼り付けられていることが多いので、一度剥がすと再利用ができないのです。だから新しい革に貼り替えるのですが、どうせ変えるならイメージの違う感じにしたら面白いかと思って、こんな風にカラフルな革や布を貼るようになりました。」

 

 元々持つ独特なデザインを生かしながらカラフルに生まれ変わったフィルムカメラは、首からさげているだけで人の目を惹く。カメラの色合いと洋服や小物の色合いを合わせるなど、ファッションの一部としての考え方もできそうだ。

 


 -ひとつひとつ、自分のペースで-
「知人がリサイクルショップをやっていて、カメラだけまとめて譲ってくれます。中には凹んでしまっていたりして直しようのないカメラもありますけど、何せ古いカメラばかりですから手に入りにくい部品も多いので、使える部分は全部使っていますね。」

 

 ひとつひとつ全て分解し、壊れた部品を換えたり油をさしたり、汚れを綺麗に落としたりしていると、一台のカメラを修理するのに丸一日かかることもある。カメラのメーカーによっては外側の革貼りを剥がすだけで30分以上かかることもあるそうだ。

 

「以前は委託修理を引き受けていたこともありますが、依頼が多すぎて手が回らずにやめてしまいました。今は自分のペースでのんびり修理して、出来上がったものをイベントや雑貨屋さんで販売しています。」

 


 -デジタルカメラより高い解像度-
 実際に山盛さんが修理したカメラで撮った写真のフィルムを何枚か見せていただいた。太陽の光にかざすと、思っていたよりもずっと綺麗で鮮やかな色彩が写し出される。

 

「フィルムカメラはただの古いカメラだと誤解されがちですが、一般的なデジタルカメラより解像度が高いものもあります。その割には本体価格もフィルム代や現像代もお手頃ですし、操作もそんなに難しくありません。実は結構趣味として手を出しやすいのですよ。」

 

 コントラストが柔らかな写真を撮ることができる機種があることや、デジタルカメラでは全体が白っぽくなってしまうような強い太陽光が差し込む窓辺を綺麗に写すことができることなど、フィルムカメラならではの魅力を語ってくれる山盛さん。毎月第四日曜には、常滑にあるKANDA百貨店という雑貨屋さんでフィルムカメラの教室を開催しているそうだ。

 

「午前中の撮影教室では、古いカメラを貸し出して撮影方法をレクチャーし、一緒に常滑の街を撮り歩きます。午後からは一人一台カメラを修理していただく修理教室で、修理したカメラは持ち帰ることができます。準備するカメラはその時々で変わりますが、お得なカメラがある時もあります。」

 

 ポップな色合いが印象的なごん色カメラ。山盛さんが作り出す愛らしいカメラは、デジタルの波に押されて忘れられつつあるフィルムカメラの素朴な魅力を、たくさんの人に根強く伝え続けてくれるだろう。

 

 ※上記の内容はすべて取材当時のものです。